忍者と極道 感想

「忍者と極道」のストーリーを振り返る(第三章 32話)

今日も忍者と極道のストーリーを振り返っていきたいと思います!

最新話までのネタバレを含みます、よろしくお願いします!

忍者と極道、4月5日(月)から連載再開です!

第32話 幸せな人

今回のタイトルの幸せな人はBLANKY JET CITY(ブランキー・ジェット・シティ)の7作目のアルバム
ロメオの心臓(こころ)の11曲目に収録されている曲のタイトルですね。

今回の漫画の内容を考えると、ふさわしくないタイトルに思えます。

今回の32話ですが、ほとんどが殺島の過去の回想になっています。

「暴走族卒業(ゾクやめ)…“大人”になった感想は『悪かねェ』ーーー……だったな」

特攻服からスーツに替わる殺島。

極道になった後も生まれつき人に好かれやすい性質(タチ)だった殺島。

特に苦労も無く、好意に対して精一杯応える、それで上手くいったようです。

その結果25歳で組の本部長までのし上がったようです。

αやΣとは大分違いますね。

好意に対して精一杯応えるってメチャクチャしっかりしている社会人の考え方だと思います。
問題は彼が所属しているのが極道だということですね。

そして殺島は“ノリカ”という名前の女性と結婚します。

結婚式には聖華天の仲間達が集まってくれていました。勿論α、Σ、Ωの3人もいます。

全員バッチリ正装してますね、極道なのにその辺りしっかりしているというか。
殺島のカリスマ性があるからか?と思ったんですが結構極道ってマナーには厳しいところありますからね。
TPOは守るものなのかもしれませんね。悪いことはしますけど。

そして殺島とノリカの間に子供が生まれました。この子が花奈です。

子供が生まれたことを涙を流して喜ぶ殺島。自分の“生命”を分けた子供が生まれたことが嬉しくてたまらなかったようです。このコマだけ見ると少しヤンチャ入っている良いお父さんですよね。

大変な子育ても幸せに感じていました。

「花奈を幸せにするんだ…!!! そう思えばいくらでも働けた!!」
「花奈のためならなんでもできる…!! 花が幸せならなんも不要(いら)ねー!!!」

このシーン、すごくいいこと言ってるんですけど、やってることが恐らく借金の取り立てか何かで
土下座して謝る人の頭を踏みつけるという非人道的行為なんですよ。そのギャップが極道という存在を表しているといえるでしょう。

花奈をお風呂に入れながら初めての「ただ与えたい」という感情を感じていました。
親としての無償の愛を感じていたんでしょう。

しかし家族円満な時間は長くは続きませんでした。

徐々に夫婦喧嘩が多くなっていく殺島とノリカ。その理由も今となっては思い出せません。

しかし妻に最後に言われた台詞「大人になってよ」という一言だけをいまだに殺島は覚えているのでした。

そして結局殺島とノリカは離婚します。花奈の親権もノリカの元に。

しかも元妻(ノリカ)の再婚相手は殺島の働く長沢組の組長でした。殺島にしてみればショックですよね。

このシーン、恐らく幼稚園児くらいの花奈が殺島に手を伸ばしています。恐らく父親と離ればなれになるのを相当嫌がったんでしょう。自分を愛してくれている父親と別れるのはこれぐらいの年齢の子供にとって辛いでしょうね。

離婚することになっても花奈の成長を見守ろう、そう思っていた殺島ですが…。

長沢組の事務所が忍者に襲われ、その巻き添えにより花奈が命を落としたのです。

忍者により直接命を落としたのではなく、組員の撃った流れ弾に当たった結果ですが。

花奈の遺体を目の前に殺島。その周りでは何人もの極道が涙を流しています。

身内の死には涙を流せるくらい優しいんだよなぁ…。

花奈が最後まで腕につけていたのは殺島とお揃いの「フラッシュ☆プリンセス!」のブレスレッドでした。

ママとずっと仲良くして欲しい、そのお願いと一緒に渡されたブレスレッド。

結果的にそのお願いも果たすことは出来ませんでした。

「憎かった…!!! 襲撃(カチコミ)かけた忍者は当然憎い そんなところに花奈を住まわせやがった
 組長と元妻は…殺られたからもういい」

「だが…!!何より!!! 何より憎いのはーーー…!!!」

“大人”になれねえ自分が憎いーーー……!!!

殺島の中で何かが壊れた瞬間でした。

よく読むと妻であるノリカの呼び方が変わってるんですよね。

ノリカ→妻(ノリカ)→元妻(ノリカ)→元妻(ルビ無し)と変わっていっています。

その日から殺島は酒に溺れ、死んだような生活をしていました。

ゴミ袋を背に座り込む殺島。

思い出すのは聖華天のメンバーと暴走していた日々…。

「…行きてえなあ また あの “暴走”(ユメ)の中に……!!」

そこに現れたのは………

「吸わんかね」

タバコを差し出す極道(キワミ)さん、傍に佇む夢島。

極道さんは続けます。

「殺島ーー……飛露鬼君だね?」
「君に何が起きたか…聞かせてもらった」

「全部忍者が悪い」

「さあーーー…共に忍者をブッ殺そう…!!」

…ここで全部忍者が悪いって言い切っちゃうところが極道さんだよなぁ…。

そして回想は終わり、忍者(シノハ)君と殺島の闘いに戻ります。

迫ってくる忍者くんに対し、殺島は自分の持っていた拳銃を自分自身の頭に向けます。

「何のつもりだ」と尋ねる忍者くんに「“降参”(ギブ)だ」と告げる殺島。

「かと言って…殺られるのも不機嫌(シャク)だしよォ」
「てめーの手が届く前に引き金引くことくれー……余裕だぜ?」

「なあ…いいだろ 忍者よォ……?」

勝負を諦め、自害させてくれと懇願する殺島。

しかし、その心の内では…

「ごめんな…花奈 パパは死ぬが…天国(そっち)にゃ行けねー」

だが仇はとる

極道技巧(ごくどうスキル) “世界の終わり”

「死なせてくれよ……」と言いつつ忍者くんを道連れにすることを考えていたのでした。

32話を振り返って

今回は殺島の回想がメインのシーンでしたね。

娘を失って生気が無くなってしまっているシーンは胸にきましたね。

ガラスが割れるような描写を見るに殺島もグラスチルドレン達のように心が壊れてしまったのでしょう。

次回は私が忍者と極道で最も泣けた回です。