忍者と極道 感想

「忍者と極道」のストーリーを振り返る(第三章 第27話)

今日も忍者と極道のストーリーを振り返っていきたいと思います。

今日振り返るのは単行本3巻に収録されている最後の話になります。

最新話までのネタバレを含みます。よろしくお願いします!

第27話 ガソリンの揺れ方

今回のタイトル「ガソリンの揺れ方」は以前にも紹介した3人組ロックバンドBLANKY JET CITYの8番目のシングル曲のタイトルです。

今回の27話、1ページ目に描かれるのは帝都八忍の長、神賽惨蔵が今まで変化した姿が縦に並んでいます。

女性の姿は本編では出てきていないのですが、壊左の過去を描いた外伝「獅子の華」で出てきます。

1番上の顔が半分切れている大柄な男性、そして1番下の帽子で目元が見えない子供はこの27話で登場します。

目の前の出来事を信じられない様子の愛多総理。

極道車を焼き払った黒衣の男、そしてその男と闘っているのは、

「大リーグ記録799本塁打ッ “国民栄誉賞”検討中のNY(ニューヨーク)ドンキース主砲ッ!!」
「逢魔賀 広偉(おうまが ひろい)!!!」

日本人大リーガー、国民栄誉賞と言ったら、パッと思いつくのはやはりイチローとか松井秀樹選手ですよね。
イチローはもらってなかったはずですけど。

もしそんな有名人がバット振り回して人殺してたらそりゃ目を疑いますよね。

極道技巧 “黄金の旋風”(おうごんのかぜ)

バットを振り回し、旋風を起こすことで惨蔵の“老腕若火の帰還”の炎が散らされていきます。

恐ろしい表情で惨蔵目がけてバットを振り下ろすΩ。

寸前のところで躱す惨蔵。

(個人的にはこの時のΩの表情は「うしおととら」の藤田和日郎先生のタッチに似ている気がします。)

しかし惨蔵、躱した際の一瞬の隙をつき、Ωの口内からヘルズ・クーポンを奪い取ります。

(この時もそうですが壊左の腕を伸ばす暗刃“如意暴”は使いやすいらしく、惨蔵は度々使用しています。)

Ωから奪い取ったクーポンを口に入れる惨蔵。しかし忍者には効果が無いらしく吐き出します。

このやり取りから

  • 極限まで鍛えている忍者にはヘルズ・クーポンの効果が無い。
  • クーポンは一度使用すると口内から出してもしばらく効果が持続する。

という2点が明らかになりました。

『忍者がヘルズ・クーポン使ったらめっちゃ強くなるんじゃね?』という疑問にアンサーが出たわけですね。

Ωの殺し方を考えていた惨蔵は逢魔賀と書かれたユニフォームを着た遺体を発見します。
(如何に闘うか?でなく如何に殺すかを考えていましたよ惨蔵)

その遺体を見ながら惨蔵は自分が野球狂(ファン)であること、Ωの試合はデビュー以来全試合観ていることを伝えます。

国民的英雄とも言えるメジャーリーガーのΩ、凶行に暴走(はし)った理由を問う惨蔵。

「悪ィな……!! 聖華天の“黄金時代”(オウゴン)がまぶし過ぎてよォ……!!!」

そう言って邪悪な笑みを浮かべるΩ。

聖華天の暴走の比べれば野球を含んだ他の全てが糞便(クソ)に思えた、そう話します。

そんなΩに対し、惨蔵は遺体の着ていたユニフォームを手に取り

「“これ”を見ても 本当にそう言えるのか?」と話します。音を立てながら変化する惨蔵。

そこには1人の少年の姿がありました。

その姿を見て驚くΩ、愛多総理面々。

Ωは少年をブライアンと呼びます。ブライアンは

「広偉が本塁打(ホームラン)を打ってくれれば…僕は…元気になれる…!!」

そう言いながらΩに近づき、先ほどのΩに負けないほどの邪悪な笑みを浮かべ

「そぉれっ♡」とΩにバットで殴りかかるブライアン(惨蔵)

これはΩに防がれ不発に終わりますが、Ωの狼狽振りを見て何かを確信する惨蔵。
(この時、惨蔵が舌を出しているんですがこれは読み切り『獅子の華』に出てきた輝村 獅門の“超絶対味覚”を使っている可能性があります。もしそうだとしたら惨蔵は忍者の暗刃だけでなく、極道の極道技巧も使えるようになるということですね。)

そして惨蔵はΩと少年ブライアンの過去を語り出します。

Ωはかつて難病で苦しむブライアンを元気づけるため『次の試合で必ずホームランを打つ』と約束しました。

まるで伝説の大打者ベーブ・ルースのように。

そしてΩは約束通り見事にホームランを打ったのです!

しかし…ブライアンは回復することなく、帰らぬ人となりました。

野球を愛していたΩはそれにショックを受けるのでした。

そして仲間に「野球で病気が治る訳はない、“大人”になれよ」と言われるのですが

仲間の胸ぐらを掴み声を荒げるΩ。

「野球を信じて何が悪い!!? 信じねーのが“大人”だというならオレはッ……オレは!!!」

彼もまた“大人”というものに苦しんでいたのでした。

そして惨蔵はただの野球ファンとしてΩに

「逢魔賀広偉は野球を愛していると…言ってくれ!!!」と頼みます。しかしΩは

「悪ィな…!!! それでも…オレには聖華天の“黄金時代”(オウゴン)がまぶし過ぎてよォ…!!!」

と答えます。

さっきの台詞とほぼ一緒ですが、邪悪な笑みを浮かべていたさっきに比べ、涙を流しながら震えるように言っているように見えます。

その言葉を聞き、残念そうな表情のブライアン(惨蔵)。

そして惨蔵はΩに対し

「“野球の王”の力をもって お主の野球愛取り戻してブッ殺そう!!!」

と言い、また身体を変化させていきます。その姿を見てΩは再び驚き声を上げます。

「大リーグ通算799本塁打ッッ 野球史上最高の“伝説的打者”(レジェンドバッター)!!」

「王・キング!!!」

そして王・キング(惨蔵)は言います。

「HEY BOY(ヘイ ボーイ) PLAY BALL!!!(“命獲り”(たまとり)しようぜ!!!)

ここまでが27話のストーリーとなります。

27話を振り返って

王・キングのモデルは言うまでもなく王貞治福岡ソフトバンクホークス取締役会長ですね。

王さんの似顔絵は必ずといっていいほど唇が厚めに描かれますしw
あと最後のページの構えも一本足打法ですよね。

あと最初にも書きましたが、この27話は単行本3巻の最後の話なんですが、単行本の方ではこの27話の後に
ネットニュースのような形で逢魔賀とブライアンの交流が描かれています。

内容はブライアンのために本塁打を打つと約束した際のエピソードでした。

恐らくこの頃はまだ野球愛に満ちていたんでしょうね。

次の28話、かなりブッ飛んだ回です。