今日もオススメ漫画について書いていきたいと思います。
今回紹介するのは沖田×華先生の「不浄を拭うひと」です。
(ネタバレあり)
世の中には様々な職業がありますよね。
有名な職業もあれば普通の生活をしていればほとんど意識することのない仕事もあります。
今回紹介するのは、恐らくこれからの超高齢化社会においてますます需要が増えるであろう仕事について描かれた漫画です。
就職活動をしている方、この世界にどんな職業があるのか興味のある方、一度漫画で体験してみるのもいいかもしれませんよ。
ストーリー
この漫画の主人公は山田正人(やまだまさと)39歳。
既婚者で妻と息子との3人暮らし。
大学を卒業し一時期サラリーマンになり、フツーの生活を送っていました。
そんな彼は現在ー、特殊清掃の会社で働いています。
(会社勤めといってもほとんど彼がメインで活動しているようです。)
ここでいう特殊清掃とは
遺品整理、ゴミ屋敷の清掃、亡くなった人の部屋を原状復帰させるためのあれこれ、そういった意味での特殊清掃です。
例えばアパートで一人暮らしの人が突然亡くなったりすると、ご遺体はしばらくそのままになります。
そうなるとご遺体も腐食しますし、家の中の家具や家電もずっとそのままになります。
そういったときのためのお仕事ということです。
ご遺体が誰かによって発見され、警察によって回収された後、現場に出向いての仕事となります。
- リアルに描かれた死の後の世界
この漫画によると一人で亡くなるケースが多いのが
50歳以上の一人暮らしの男性だそうです。
この漫画の第一巻で、60歳代の男性が単身者用のアパートで亡くなって
1ヶ月以上経ってから発見され、そのアパートに入ろうとするシーンがあるのですが、
部屋に入ろうとした瞬間、山田は何者かに肩をつかまれるような感触に襲われます。
彼は特殊清掃の仕事をするようになってから霊感体質になってしまったそうです。
このままでは部屋に入って作業が出来ません。
どうするか?
住職さんを読んでお祓いして貰うのです。
そして部屋に入ることが出来るようになったのですが何故か男性が亡くなった部屋なのに何故か女性ものの下着が大量にあります。
そして部屋を片付けていく内にどうやら亡くなられた男性は
女装プレイを好んで行っていたことが判明するのでした。
肩をつかまれたことを思い出し
「そりゃ…見られたくないよなぁ~~~」と納得する山田。
「この仕事をしていると部屋をキレイにしていくうちに
故人がどういう生活をしていたかわかってくる」
「そして どういう最期を迎えたのかも…手に取るように感じるのだ」
片付けが終われば、キレイになった部屋に手を合わせて
「どうか安らかに……」とお祈りをして一つの仕事が終わるのでした。
様々な人の最後の瞬間
この漫画で亡くなる人は「一人でいるときに亡くなる」ということは共通しているのですが、それ以外は人によって様々です。
一巻に収録されている「ナゾの女性達」という回があるのですが、
一人で亡くなられた会社経営者の男性の部屋のカギを用意し、中に入ろうとすると
綺麗な女性が4人も集まってきました。
みんな部屋に入ろうとしているようです。
「一度私が入って異常がないか調べます。その後に入って頂くということで」
といった内容を女性達に説明する山田。納得する女性達。
安心してカギを開けるのですが…
その瞬間カギを開けた山田をはねのけ部屋になだれ込む4人。
山田が部屋の中に入ると4人がいっせいに部屋の中をあさっていました。
勝手に触らないように注意する山田。
しかし女性達は口を揃えて「形見分けだから」と口走ります。
実は亡くなられた会社経営者の男性は羽振りがよく毎晩飲み歩いていたそうです。
そして仲が良かったホステスの女の子達が貴金属や高価な物を貰いに来た、ということでした。
そして貰う物を貰った女性陣はあっさり帰って行きました。
大幅に時間がオーバーし、急いで片付ける山田。
部屋に飾ってある
「いい日もいやな日も寝たら忘れる ドンマイドンマイ」
と書かれたポエムを見て社長のことを考えます。
クスッと笑みがこぼれる山田。
「人の欲と業と人生観がかいま見えた貴重な1日だったのかもしれない」
という一文でこの話は締めくくられます。
このように考えさせられる話が多いです。
グロいけどそこまでグロくない
この漫画は人が亡くなられてから結構長い年月が経った部屋に入るようなことも多いです。
そうなると虫がいたりとか結構グロテスクな場面も出くわすのですが、
作者の沖田先生はそこまでグロくならないように工夫をしてくれています。
虫のことを中心に描かれている回もあるのですが、虫がアップになるときは擬人化、つまり人の姿にしてくれていたりそこまでグロい絵にならないように工夫がなされています。
読みやすくされた配慮です。
ただそれでもあまり食事の前後などは読まない方がいいかもしれません。
二巻まで読み終えて
私は今年の三月末まで介護士として介護施設で働いていました。
直接目の前で亡くなられた場面に出会うことはなかったのですが、亡くなられてからご家族が集まられ、その後ご遺体が運ばれるところは見たことがあります。
その場合運ばれる前に、看護師の手によってエンゼルケアと呼ばれる亡くなられた方に対するケアが行われます。
それによりできる限り綺麗な状態で運ばれる訳です。
しかし孤独死の場合、どうしても発見が遅れがちになるためご遺体の状態も場合によっては思わず目をおおってしまいそうになるようなことになることもあります。
それでも誰かがご遺体を運び、誰かが亡くなられた場所をキレイにしてくれています。
普段意識することはありませんが、そういう仕事をしてくれている人がいるということです。
そういったことを考えさせられる漫画でした。
「不浄を拭うひと」心の準備をした上で、是非読んで頂けたらと思います!