忍者と極道のストーリーを振り返る第2回をしていきたいと思います。
前回の続きからです。最新話までのネタバレが含まれます。
ご注意下さい。
序章から第一章へ
第2話「狼煙の火種」(のろしのひだね)はいきなり戦闘シーンから始まります。
居合いの極道技巧「極道居合」(しんでもらいます)の使い手
魔津田黒雨(まつだくろさめ)を忍手“暗刃”を使いブッ殺します。
(ちなみにこの魔津田は本編の方では初登場のシーンで既に首をはねられているキャラで登場しているのも2ページしかないのですが、モーニングの方に掲載された出張読み切りではメインキャラの扱いとなっています。下の名前もそちらで明らかになります。読み切りは単行本5巻に収録されています)
攫った女を薬漬けにして裏風俗を営んでいた魔津田。
「欧州(ユーロ)の“女性売買屋”(ブラック・デス)かよ 極道が…」
と呟く忍者くん。
(ブラック・デスという犯罪組織は実際に存在するそうです)
そして極道を殺し終わった忍者くんが見つけたのが回数券のように少しずつ切り取り線でちぎって使う麻薬、
“天国への回数券”(ヘブンズ・クーポン)でした。
場面変わって銀座。【珈琲の店 CAFE でいびす】
細身の老人が持ってきたコーラの瓶に暗刃で穴を開けてコップに注ぐ忍者くん。(そんなところに穴開けたらこぼれるだろう)
それを見て嬉しそうに「この師を越えた」と話す老人。
彼こそ東京の忍者全ての師である壊爺こと璃刃壊左(あきば かいざ)。
暗刃の生みの親でもあります。(外伝にそのエピソードが描かれています)
向かい合う席に座り「布団がー…吹っ飛んだ…!!!」と洒落(ギャグ)を披露します。笑えない忍者くんを笑わせようとしたようです。
しかし忍者くんは笑えず。
「坊に笑って頂くべく考え抜きし傑作すらーーー…!!」
「無念」
壊爺、忍者くんのために考えていた会心のギャグだったようです。
(布団が吹っ飛んだってギャグの中では比較的メジャーだと思うんですが
今までこのギャグを聞く機会はなかったのでしょうか?)
二人は和やかに会話を続けます。
(キャラクター紹介のページで忍者君は帝都八忍の中で壊左に最も懐いていると書かれています)
会話の途中で忍者くんは壊左にヘブンズ・クーポンを見せ最近極道の動きが妙だ、何かを謀っているという話をします。
するとその話に割って入るように柄の悪い客が
「灰皿が山盛りだ、交換しろ!!!」とわめき散らします。
「半殺(シバ)くゥ~?壊爺…」と忍者くん。
(半殺しと書いてシバくと読む。彼の言う半殺しは本当に半分死ぬくらいのことになりそう)
しかし壊爺は大人の対応。
一瞬で灰皿を取り替え
「大変失礼致しました 御客様 御緩(ごゆるり)と…」と笑顔。
「裏社会(ウラ)で悪事(わるさ)かませばブッ殺すのみで御座います」
と壊左は話します。年老いても忍者としての強さ、決意は健在のようです。
場面は変わり、東京キャラクターストリート。
『プリンセスストア東京店は本日限定商品販売につきまして
入店されるお客様は待機列にて…』
プリンセスシリーズの限定商品を買いに来たようです。
(時系列的に壊爺の店でヘブンズ・クーポンを見せた次の日と思われます)
出遅れた忍者くんは列の最後尾に並ぼうとします。するとそこにいたのは極道さんでした。
列で並んでいる間もプリオタ同志のオタトークに華を咲かせる二人。
お互い抱えるほどグッズを買った二人は極道の行きつけのおでん屋で第2ラウンドを始めます。
引き続きオタトークを楽しむ二人でしたが、沢山の人が極道さんの周りに集まり彼に話しかけてきます。人気があるようです。
しかしここで楽しそうに笑っているように見える彼の周囲の人物の顔が無くなりのっぺらぼうに囲まれているような描写が入ります。
これは感情が分からない極道さんの心情を表現したものと考えられます。
しかしその場にいた人間の中で一人だけ笑えない忍者くん。
無理に笑おうとする忍者くんに対し、極道さんは
「忍者君…君 “友達”は?」と尋ねます。
「人間は他者とのー… 社会とのつながりによって生きるものだからね」
学校でも友達らしい友達はー…と話す忍者くんに対し
「ならば まずは私が友となろう」
と極道さんは言います。その時「プッ」と誰かが吹き出したような音がしました。
極道さんは忍者くんが笑ったと言いますが、この「プッ」は台詞だけが描かれているため真相は今一つ読者には分かりません。
夕方になり、連絡先を交換し再会を約束し別れる二人。
生まれて初めて友達が出来たことを壊爺に話したいと思う忍者くん。
極道さんが向かった先には、破壊の八極道の一人、夢澤が待っていました。
時同じく、壊左の元にはべしゃり烏が。
「赤坂… 本日は早仕舞いですなあ…」と一人呟く壊左。
その日の夜、赤坂。京兆と呼ばれる料亭に沢山の黒塗りの極道車。
東京の極道、それを二分する「講男會」(こうだんかい)と「男羽會」(おとわかい)のメンバーが勢揃いしていました。
(講男會の元ネタは勿論講談社でしょう。男羽會の元ネタは音羽建物株式会社、講談社グループの一つの会社と思われます)
2つの會が激しい言い争いをしている中現れたのは白装束を着た極道さん。
時同じくして壊左の店を訪れたのは忍者くん。
早仕舞いのことが書かれた張り紙を見つけます。
その頃壊左は赤坂に向かっていました。
極道の宿敵である忍者の殺し方を極道達に向け話そうとしている
極道さんのいる場所に。
今正に壊左と極道は出会おうとしているのでした。
ここまでが序章であり、第3話から
「第一章 赤坂血風狼烟(あかさかけっぷうろうえん)」に移るのでした。
読み返してみて
私はこの2話目も公開されてすぐに読んだんですけどその時から極道さんがのっぺらぼうに囲まれているページを見て
「楽しいと心から思ってないのか?」と思っていたんですが、やはりあれは感情が分からない極道さんの心の内を表現していたようです。
この2話を読んだ時はこの壊爺がすぐに死ぬとは思わなかったなー。
少年漫画には強いジジイって重要キャラじゃないですか?
でもこの漫画には神賽惨蔵という四百年以上生きているジジイがいるからな、そう考えるとジジイ枠は最初から二つあったのか。
でも外伝で壊左のカッコいいシーン、しっかり描かれていたからそれはよかった。
そしてこの先、第3話で遂に極道さんと壊爺が出会う訳ですね。
次はその部分を書いていきたいと思います!