今日も忍者と極道の感想を書いていきたいと思っています。
忍者と極道、最新話までのネタバレが含まれます。
今回の話で遂に陽日と夢澤の闘いに決着が着きます。
第12話「幸せの鐘が鳴り響き僕はただ悲しいふりをする」感想
この12話のタイトル、ちょっと長めですが、これはBLANKEY JET CITYという3人組ロックバンドの4枚目のフルアルバムのタイトルから来ています。
忍者と極道は音楽に関係するタイトルがつけられていることが多いです。近藤先生の趣味なんだと思うのですが。
前回のラストで最後の攻防を繰り広げた陽日と夢澤。
最初のページは前を向く陽日と、悟ったような表情で下を向く夢澤が描かれています。
その結果、夢澤の短刀は陽日の左胸を貫き、陽日の暗刃は…
夢澤の首をはねていました。
血を吐きながら「これが 極道……!!!」と呟く陽日。
満足だ いい人生だった…!!!
落ちていく笑顔の夢澤の生首。
竹本組の舎弟達、恵介達3人組、極道(きわみ)さんに対して想いを巡らせます。
(この時に竹本組の舎弟達に対し地獄で呑もうぜ!!!と言っているのでやはり夢澤は自分が悪人であるという自覚を持って極道をやっていたようです。)
そして次のページをめくると
そこには倒れている状態から身体を起こす夢澤。
そして周りは夢澤が好きだった90年代の歌舞伎町の光景。(治安は悪そう)
隣には竹本組の舎弟達。
ここで「いやー、オレ達も死んじゃいましたー💦」みたいな表情の恵介好き。
そして夢澤の目の前にいるのは、先代の竹本組の組長でした。
「よう… でっけえ野良犬だな~…!!!」
「いや…もう野良犬じゃねえ…!! 立派な“漢”の死に様だ…!!なあ…恒星!!!」
「竹本の…組長(オヤジ)…!!!」
この場面を読むと、夢澤がしてきたことは悪事ではありましたが彼なりに希望を持ち、先代のため、そして組織のために頑張ってきたことが分かります。実際に彼は多くの人達に慕われていたわけですから。
そして何とか夢澤にとどめを刺したものの自身も瀕死まで追い込まれた陽日。
仲間のためにヘルズ・クーポンの手がかりを遺そうと最後の力を振り絞る内に、忍者の道を進むきっかけになった昔のことを思い出します。
親兄弟に暴行されていた時、優しいと思っていた孤児院の印帳に臓器を売るために殺された時、彼の身体は灼熱(あつ)く燃え上がり、全てを焼き尽くすのでした。
人生に絶望し、いざ自分の喉に刃物を突き立てようとしたとき、そこに忍者(しのは)くんが現れました。
「オウコラてめー!! そんな表情(ツラ)で死んでいいのかよ!!?」
そう言いながら燃えている陽日の手を掴む忍者くん。
そのまま陽日を連れていこうとします。忍者にするために。
忍者くんは言います。
「人間どんな家や身体に生まれるかは選べねー」
「だがよォ…“死に方”はまだ自分(てめー)で選べる…!!!」
「人のために生きたら…死んでも少しは笑って逝けるだろ…!!」
「忍者はみんな…笑って死ぬために生きている…!!!」
「よう…てめーはどう死にたい?」
忍者くんにヘルズ・クーポンのこと、プリンセスシリーズのこと、忍者に誘ってくれた感謝など伝えたいことが沢山ある陽日。
生首になった夢澤の口の中に手を入れ、ヘルズ・クーポンを取り出します。
しかし!その瞬間、現れた極道さん率いる八極道の2人、ガムテに背中を斬られ、殺島に頭を打ち抜かれ倒れてしまいます。
周りの燃えている光景を見て、忍者の持つ特異体質に対し推測する極道さん。
そんな忍者と差し違えた夢澤を見事だと賞賛する極道さん。
この場面で初めて極道さんが「感情が理できない」という事実が明らかになります。
極道さんの頭には削り取ったような大きな傷があります。
理屈では分かる、演技(フリ)も出来る、ただ感覚では分からない。
笑うフリも出来ない忍者くんとは少し違いますね。
世界の誰とも共感できない、それ故に世界の誰より“孤独な者”を理解する。
これは夢澤が恵介に言っていたことですね。
涙を流せない代わりに、夢澤の口元に手を当て血で自分の顔に涙を作る極道さん。
そしてそのタイミングで忍者くんはカブチカに到着したのでした。
当時はここでお互いが正体に気づくと思いましたね。
ここまでで12話は終わりです。
第12話を読み返して
今回の話を読んで「鉛玉は溶けるのに短刀(ドス)は融けないのか?」と疑問に思われる方もいるかもしれませんが鉛の融点は327.5℃、そして(短刀が鉄で出来ているとして)鉄の融点は1,538℃なので陽日の身体はこの間の温度だったということですね。
あと殺島が陽日の頭を打ち抜いていますが、「何故この時弾が融けないのか」というと殺島の撃つ銃弾はタングステン合金(融点は鉄に近いと思われる)で加工してあるので陽日にも効くそうです。(近藤先生のTwitterから引用)
陽日と夢澤の闘いは結果だけで言えば先に死んだ夢澤の敗北かもしれませんが、極道さんの言うとおり差し違えた形、ほぼ相討ちと言っていいと思います。決死の覚悟、見事な闘い振りでした。
この話は単行本の2巻に収録されているんですけど、この2巻の帯に書いてあるのが
「灼熱(あつ)すぎる死闘、冷酷(つめた)すぎる結末。」
という一文です。正にその通りの決着になりましたね。
二章はもう少し続きます。